エージェント指向ソフトウェア開発
自律的エージェントによる動的かつ柔軟なソフトウェアの開発
現在の計算機市場は目覚しい発展をとげています。インターネットの隆盛や豊富なネットワークコンピューティングパワーの実現、家庭内情報ネットワークの発達や情報携帯端末の高度化などにより、オープン性、モバイル性を持った動的なシステムが必要となっています。そのようなシステムの実現のための一つのパラダイムとしてエージェント技術が注目されています。
エージェントとは非常に定義が曖昧な語であり、幅広い研究分野ですが、一般的には次のような性質を持ったプログラムであると定義されます。
- 自律性
- 周りの状況を観察し、変化があればその内容に応じて移動していくことや、あらかじめ想定していなかった事態にもそれなりの対応ができること
- 協調性
- システム全体のエージェント間の連携により、単純には実現できなかったことを実現できたり、全体的な利得を向上させられること
- 適応性
- 自分の周りの環境の変化を察知し、自律的に学習やプランニングなどを行い、その環境への適応を行うこと
一口に"エージェント"と言ってもその特徴によってさまざまな種類が存在します。多数の知的なエージェントが協調動作することにより、大きな目標の遂行を目指すマルチエージェントシステムや、人間とコンピュータ間の高度なインタラクションを実現するインターフェースエージェント、ネットワーク上を自由に行き来し処理を実行するモバイルエージェントなどが提案・研究されています。
深澤研究室ではモバイルアドホックネットワーク(MANET)を対象としたエージェントシステムについて活発に研究を行っています。MANETとは近隣の端末同士で直接通信を行うことで、動的に構築することができるネットワークであり、インフラを必要としないために災害地などでの利用が期待されています。現在、MANET上において位置を束縛してサービスを提供するエージェントシステムや、市場原理や昆虫工学を利用したルーティング手法の研究を行っています。また、携帯端末に限らず、自動車交通において昆虫のフェロモンモデルを利用した渋滞解消に関する研究や、温度や加速度などを取得できるセンサーネットワークでの柔軟なサービス配置に関する研究など幅広い分野に渡って研究が行われています。
また、国立情報学研究所教授の本位田教授にご指導いただき、ゼミへの参加を通し活発な交流を行なっています。 東京大学 本位田研究室