“ゴール指向の測定評価と留意 – GQMパラダイムと拡張 -” をメトリクス公団 Vol.1に寄稿しました。

鷲崎弘宜、”ゴール指向の測定評価と留意 – GQMパラダイムと拡張 -”、メトリクス公団、Vol.1、TEF東海メトリクス勉強会、2013.

概要

測定は、明確な目標を伴うものでなくてはならない。さもなくば、測ることが目的化してしまいかねない。事実、「ツールで測っているけれど誰も結果を使っていない」といった測定が形骸化した状況や、「追加で測れと言われても余計なことはしたくない」といった測定への抵抗感をしばしば耳にする。

明確に目標を据えて、目標に対して必要なメトリクスを対応付けるゴール指向(目標指向)な枠組みとして、Basiliらにより考案されたGoal/Question/Metricパラダイム(以降GQMパラダイム)が知られている。しかしGQMパラダイムそのものは、測定上の目標を上位の目標(例えば組織の目標)へと結びつける仕組みを提供しない。そこで同じくBasiliらによって、GQMパラダイムをベースとして、組織活動における組織目標や戦略、さらには測定上の目標を結びつけるGQM+Strategiesが考案されている。

また他にも、メトリクスの導出に至る際の事実と仮定の区別など、GQMパラダイムの適用にあたり考慮すべき様々な事柄があり、対応した様々な拡張が提案されている。そこで本稿では、最初にGQMパラダイムの概要を解説し、続いてその留意点とGQM+Strategiesを中心とした拡張を解説する。