“責務の割り当てに着目した設計クラス図の機能性・保守性評価”が第20回 ソフトウェア工学の基礎ワークショップ FOSE 2013 in 加賀にショートペーパ採択されました。

津田 直彦、鷲崎 弘宜、深澤 良彰、”責務の割り当てに着目した設計クラス図の機能性・保守性評価”、第20回 ソフトウェア工学の基礎ワークショップ FOSE 2013 in 加賀、石川県加賀市山代温泉、2013年11月28-30日 (fose2013_submission_38.pdf)

定性評価は主にクラス図単位で与えられる。そのため定性評価と照らし合わせたクラス図同士の比較では、クラス図単位で集約されたメトリック測定値を用いる。しかし一般的な集約手法でクラスの関連数を集約すると、個々のクラスの関連数が多いか少ないかに関する情報は集約時に切り捨てられてしまう。これは他のクラスメトリックについても同様である。責務の大きさを表すメトリックの測定値がある値(閾値) より大きければ、そのクラスは責務が大きいと考えられる。そこで我々は責務が大きいクラスを数えることで、従来は見落とされやすかったクラス図内の責務割り当ての特徴を表せると考えた。我々は評価実験により提案手法と従来のメトリック集約手法と比較し、提案手法の有用性を確認した。そして提案手法を用いた分析により、責務が大きいクラスが多く存在する設計クラス図では保守性・機能性に関する定性評価が高いことがわかった。ここでいう保守性・機能性とは、システムのわかりやすさや機能実現の際の責務割り当ての適切さのことである。これらから、クラスに割り当てる責務が十分に検討されているクラス図は、システムの中心となる責務が大きいクラスとそれに関わる責務の小さいクラスを含むものになると考えられる。