鷲崎弘宜、“皆で、モデルで、論じましょう!”、ETロボコン2015 東京地区大会パンフレット、2015年9月
ETロボコンは、競技者がモデルを活用して、スマートなロボット・組込みソフトウェアシステムの企画、開発、運用の技術と知識、そしてチーム・マネジメントの総合力を磨き、競う世界的にユニークなコンテストです。IoT時代の到来により「ものづくり」のあり方がアップデートされようという今日、本コンテストもまたイノベーター部門の新設等により年々アップデートされ、ものづくりの基礎から応用さらにはイノベーションまで失敗を恐れずチャレンジできる機会として価値をますます高めつつあります。
一方で、歴史を紐解くと、モデルの概念はプラトンにまで遡ることができます(日高ら『モデル駆動工学の歴史と背景』コンピュータソフトウェア2012)。プラトンは蝶番や用水路を用いて、直接触れない脊椎や血管を議論しました。私たちは2300年後、主に図面を用いて、やはり直接触れないソフトウェアやシステムを議論しています。2300年前と現代では技術的に異なるようで、モデルにより論ずるという取り組みに何ら違いはありません。そして、その価値はシステムが複雑化し境界が不明瞭となりつつあるなか、ますます高まっています。
早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所は「理論に裏打ちされたプラクティスの実現」をビジョンとして掲げ、国内外組織との連携のもと、モデリングを中心として、ソフトウェアエンジニアリングの研究開発、教育、社会展開に務めています。その一環として、引き続き東京地区大会を支援させていただけることに感謝します。
スポンサーの皆様、関係者・スタッフの皆様、参加者の皆様、そしてご来場の皆様、ぜひモデルを用いて、スマートなロボットや組込みシステム・サービスの未来を一緒に論じましょう。
早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所
所長 鷲崎 弘宜