2017年の抱負

研究プロジェクト、研究業績、コミュニティ・プロフェッショナル貢献、チーム構成の観点から、以下に2016年を振り返り、2017年の抱負を述べます。

*研究プロジェクト*
2016: 我々は以下の3プロジェクトを成功裏に継続し、また2プロジェクトを新規に立ち上げました。加えて企業パートナーとの7以上の共同研究プロジェクトを継続しました。Fraunhofer IESE, Ecole Polytechnique de MontrealおよびFlorida Atlantic Universityを含む様々な海外パートナーとの研究連携を深めました。さらに、私は株式会社システム情報の社外取締役に就任し、同社との連携および共同研究を推進しました。

G7 Programming Learning Summit 2016- (フジテレビKIDS他との共同推進): プログラミング学習・教育環境の網羅的な定性定量調査研究
http://g7.washi.cs.waseda.ac.jp/

TraceANY 2016-2021 (科研費 基盤研究(B)): あらゆるソフトウェア成果物のあらゆる抽象度における追跡手法、およびそれを支えるプログラムメタモデルの分類 (ProMeTA: Program Metamodel TAxonomy)。
http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/prometa/

CSPM: クラウドにおけるセキュリティおよびプライバシ知識のメタモデル 2015-2017 (IISF SSRフォーラム): クラウドコンピューティングにおけるセキュリティ&プライバシの知識を表現および構成するための共通メタモデルの構築。
http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/?page_id=2728

ソフトウェア製品のSQuaREに基づく体系的な品質評価 2015-2017 (IPA/SEC RISE: ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業)
http://www.ipa.go.jp/sec/rise/#02-4

GQM-RG: ゴール指向の定性/定量測定・マネジメントの調査研究 2013-: GQM+Strategiesおよび関連手法の実践および応用研究。
https://gqmstrategies.wordpress.com/

2017: 我々は上述の5プロジェクトを継続および発展させます。7以上の企業パートナーとの共同研究を継続発展させます。加えて、IoT/組込みシステム工学と人工知能に関する新たなプロジェクトの立ち上げを予定しています。

*研究業績*

2016: 昨年我々は、SCIE、ESCIおよびDBLP収録の国際論文誌論文5編、国際会議発表・論文22編 (うちCORE Rank A会議2編、Rank B 6編、Rank C 4編)、国際会議ポスター6件、学会誌記事2編および招待講演13件の発表および提供機会を得ました。我々の活動は、10月6日および11月2日の日本経済新聞 朝刊記事を含む多くのメディアにおいて報道されました。さらに国際論文誌1編、国際会議3編(CORE Rank A 2編、Rank B 1編)、学会誌記事1編が採択済みであり2017年に掲載予定です。

昨年1月1日に目標として掲げた数字は論文誌7編 (国際論文誌3編以上を含む)、国際会議20編 (うちCORE Rank A会議2編以上、Rank B会議10編以上)でした。採択済みで2017年に刊行予定の論文を含めると、全体として目標を概ね達成したと自己評価します。無論、我々はこれに満足せず、常により良く、より多くの成果をあげていきます。

nikkei2016

2017: 今年我々は、昨年からのビジョンを拡張したものとして「堅固な理論に基づくソフトウェア・システム開発プラクティスの実現」を掲げて、10以上の産業界・学術界パートナーと協調しながら、競争的資金を獲得しつつ研究を進めます。理論に裏打ちされた独創的かつアクショナブルなソフトウェア・システムズエンジニアリング手法・ツールにより、ソフトウェア・システムズエンジニアリングの産業界および学術界に貢献します。よりインパクトのある論文をより良い場所で発表します。具体的には、論文誌7編 (国際論文誌3編以上を含む)、国際会議20編 (うちCORE Rank A/A* 会議3編以上、Rank B会議10編以上)を目標とします。我々の研究成果の多くが手法、プラクティス、ツールといった形で、研究パートナーとの連携を通じて引き続き実際に用いられ実質的価値を生み出していくことを追求します。

*コミュニティ・プロフェッショナル貢献*

2016: 多くのご支援ご協力の元、次にあげる多くのプログラミング・エンジニアリングコンテストを開催あるいは開催に貢献してきました: ETロボコン2016東京地区大会、情報処理学会SamurAI Coding 2015-16および2016-2017。また我々は、次を含む多くの会議を開催あるいは開催に貢献してきました: AsianPLoP 2016、XP祭り2016、 Minecraft x Education 2016, PyCon JP 2016およびG7プログラミングラーニングサミット。さらに私は次にあげる多くの重要な役割により学協会や社会へと貢献しました: ISO/IEC/JTC1/SC7/WG20 Convenor、IEEE Computer Society Japan Chapter Chair、SEMAT Japan Chapter、IEEE ICST 2017 PC Co-ChairおよびIEEE CSEE&T 2017 PC Co-Chair。

2017: 今年我々は引き続き、プログラミングコンテストである情報処理学会SamurAI Coding 2016-17、IEEE ICST 2017およびIEEE CSEE&T 2017の開催と運営に貢献し続けます。また我々は、次を含む多くの会議を早稲田大学で開催することに貢献します: AsianPLoP 2017(3月12-13日)、IWESEP 2017(3月13日)、ICST 2017(3月13-17日)、ETロボコン2017東京地区大会(8-10月)、PyCon JP 2017(8-9月)。これらのイベントやコミュニティの開催や開催支援を通じて我々は研究成果を発信し、外部社会へと貢献するとともに繋がりを広げていきます。さらに私は引き続きISO/IEC/JTC1/SC7/WG20 Convenor、IEEE Computer Society Japan Chapter Vice ChairおよびSEMAT Japan Chapter Chairとして計算機科学全般およびソフトウェア・システムズエンジニアリング領域における研究・産業の発展、コミュニティ醸成および標準化をリードし貢献します。

*我々のチーム構成その他*

2016: 私は昨年4月に早稲田大学教授に昇任し、12月にAPSCITからComputer Research Contribution Awardを授与されました。また新たに中国、ミャンマー、ドイツから複数の国際学生が加わりました。

2017: 今年も引き続き様々な国々からの国際学生の参加を期待しています。多様な背景、文化、マインドセットを持つメンバが集うことで、我々のチームは創造性を含む様々な面でより強化され、上述の研究プロジェクトやプロフェッショナル貢献を強力に推し進めます。

鷲崎 弘宜
早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 所長・教授
国立情報学研究所 客員教授
株式会社システム情報 社外取締役